水星食を見る
アイソン彗星も蒸発して消え去って,天文ファンをがっかりさせたばかりの12月2日の早朝,新月前日の細い月に水星が隠されるという水星食という珍しい現象が東日本でありました。今回は月の出からまもなく水星が月に隠されます。もともと水星は太陽に一番近い星なので,日の出や日の入りの直前にしか見ることはできません。過去のチャンスはいずれも条件に恵まれず,私は一度も見たことがありませんでした。
残念ながら我が県では見える限界に近く,もう少し北上しないと,月の出のとき少しでも水平線に雲があると,見えなくなってしまいます。悪いことに冬型の時は,いつも我が町からは琵琶湖を抜けてきた筋状の雲が太平洋上に並んでしまうので,水平線が曇られる可能性は大なのです。
北上すれば,少し月が高くなったところで水星が隠されるので,水平線上の雲を避けることができます。
ということで,天気を調べた結果,今回は千葉県南部の太平洋岸に行くことにしました。
それと今回は新型のPENTAX K-3の初使用となりました。
天気の計算図を見ながら,曇るリスクの少ない千葉県鴨川市の海岸に決めました。
望遠鏡の準備が終わったら,さっさと仮眠。4時に目覚ましをセットして寝ました。やはり今は体力温存しないとすぐに気力が無くなってしまうのでした。
撮影の共通事項は,カメラがK-3で感度はISO2200で自動露光5段階の露光ブラケット設定でプラスマイナス1段階。
レンズはタカハシのFC-65(500mm,F8)。久しぶりに赤道儀のスペースボーイの登場となりました。
撮影時刻はカメラに付けたO-GPS1から取りました。通称アストロトレーサーですが,今回はカメラではなく赤道儀で星を追いかけます。画像はトリミングなし。
水平線に雲がありましたが,無事に食が起こる前に雲から出てきました。我が県にいたら駄目だったでしょう。
高感度に設定したつもりでしたが,予想以上の長時間露光が必要でした。ぶれるリスクが大きくなり,ここはちょっと読み違い。しかし,もう時間が無いので設定変更せずそのまま続行。
双眼鏡で眺めつつ,撮影はカメラ任せ。
次第に月が水星に接近していきます。
わずか数分の出来事でした。これで肉眼惑星の食は全部観測達成。(火星食だけは昼間なので不満が残りますが)
このあと水星が月から出てくるのは日の出の頃なので,今回は肉眼では見えません。従ってすぐ撤収して家路に。
普通なら昼には家に着くぐらいの距離なのですが,今回はやはり病気の影響でかなりのパワーダウンしている影響もあってか,疲れて意識が薄れる危険を何回か感じたので,何度もSAに入って寝ては走りをくりかえし,家に着いたのは夕方になってしまいました。
翌日(つまり今日)は,やはり反動が大きく,非常に消耗してして寝込んだ状態。やっぱりまだ元の体に戻ってないんだということは,予想はしてましたが,これはじっくり治療を続けるしかないでしょう。
でもようやく水星食を見ることができて,行って良かったと思います。
コメント
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お見事!
千葉までいらしたんですか!!
ニアミスですね。こちらは鹿野山の展望台で撮影していました。
こちらでも月の下に同様な雲が見えたので,太平洋上の雲だったんですね。
今度来るときは声を掛けてください。ご案内致します。
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Re: お見事!
>>1 サイエンスさん
何しろいつものように,直前まで観測地を決めないので,東名高速の横浜町田手前のSAで,海ほたるを渡るかどうかは,3時ごろ決めました。
当初予定はもっと条件の良い茨城県北部でしたが,予報の計算結果が更新されるたびに雲域が南下してきたので,房総半島をだんだん南へ追われて行きました(笑)。